2008 Fiscal Year Annual Research Report
生態系における、環境又は生物種間相互作用による個体群変動のモデリングと数理解析
Project/Area Number |
08J01921
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
李 聖林 Okayama University, 大学院・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生態保全 / 外部生物の侵入理論 / 進行波 / 伝播速度 / 個体群ダイナミックス |
Research Abstract |
1.生態系におけるPrey-Predatorの相互作用が与える侵入速度及び環境保全に関する研究 侵入理論は環境保全においてきわめて重大なテーマであり、外部種の侵は既存の生態系に致命的な被害を起こしながらどんどん広がり、もとの生態系の均衡を壊してしまう。このような外部種の侵入による被害を最小にするためには、外部種の侵入可能条件とその伝播速度を特定することが何より大事な問題である。特に、侵入種と既存種の特定的な相互作用がその伝播速度にどんな影響を与えられるのかを調べることは、実際の伝播速度を調べる際に重要な要因として見なすかどうかという重要なポイントとして考えられる。その例として、2種の全く直接の相互作用のない被食者と1種の捕食者の一番単純な相互作用をもとに、第一の被食者が,補食者が第2の被食者を食べたあと残した死骸を食べるというモデルでは、死骸を食べるというたった一つの単純な相互作用が3種個体群の安定な共存状況をカオス的不安定な状況に変化させてしまう(S.S.Lee and T.Kajiwara,The effect of the remains of carcass in two-prey,one-predator system,DCDS-B,9(2008)No.2,353-374)。まず。生態系における基本的な相互作用の一つとして、補食者-被食者モデルの3種系における侵入可能条件と侵入速度について、数理解析および数値シミュレーションを用いて調べ、さらに3種の中で片方の被食者が一方の死骸を食べるという相互作用が侵入現象と侵入速度にどんな影響を与えるのかについて以下結果を得られた。 ・侵入種の侵入可能条件についてn種に一般化したモデルでの数理解析 ・伝播速度は侵入種の拡散係数に依存する ・3種の中で個体群の時間的変動にきわめて中大な影響を与える相互作用であっても、侵入種がどの種かによってその相互作用が伝播速度に影響を与える場合とそうでない場合がある ・伝播速度を測定する場合は何より侵入種の影響が絶対的である この研究結果は論文としてまとめて、Discrete and Continuous Dynamical Systems-Series Bに投稿中である。 2.大きな拡散係数をもつ既存種が伝播速度に与える影響について 同種である生物の相互作用の場合、拡散係数は大体同じ値として考えられる。しかし、動物と植物の場合、植物の拡散係数は動物の拡散係数より極端的に小さい。このような場合でも、伝播速度は侵入種だけに大きく依存してしまうだろうか。このような問題はきわめて重要な観察対象である。なぜなら、外部の動物の侵入によって植物の生態が壊れてしまう場合は自然系でよく起きているからである。この研究については現在数理解析とシミュレーション手法をもとに進行中である。
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Research Products
(2 results)