2008 Fiscal Year Annual Research Report
多成分ベシクルの相分離と秩序転移の結合による代謝経路の構築
Project/Area Number |
08J02802
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
佐久間 由香 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 生体膜 / ベシクル / 相分離 / 接着 / 融合 / 孔形成 / 自発曲率 |
Research Abstract |
生物は体内に物質を取り込み、必要なエネルギー・物質を取り出し、不要になったものを排出するという代謝を繰り返している。この代謝を支える物質移動は、膜変形による接着・融合・排出という素過程から成っている。それぞれの素過程においては、蛋白が局所的に膜の曲率を変化させることにより膜を変形させている。そこで脂質膜の持つ自発曲率を制御する事により、蛋白なしの脂質のみから成るモデル生体膜を用いて代謝に伴う膜の変形経路の再現を試みた。接着状態を形成しやすい負の自発曲率を持つ脂質(DPPEなど)と、自発曲率が零の脂質(DOPCなど)を混合した2成分ベシクルは高温で均一一相、低温で二相分離を示す。二相領域では、マイクロピペットを用いて2つのベシクルを接触させると負の自発曲率を持つ脂質の部分を通して接着することがわかった。2つのベシクルがstalk構造を介して接着していることは、蛍光色素が接着したベシクル間を移動することから確認出来た。また、昇温によりベシクルを均一一相にすることで接着が解け、温度により接着・非接着を制御できる事がわかった。一方、正の自発曲率を持つ脂質(DHPCなど)は、自発曲率が零の脂質が作る平面二分子膜の縁をキャップする性質がある。この性質を、ベシクル膜面上に空いた孔の縁のキャップに応用することを試みた。自発曲率が零の脂質(DPPCなど)と正の自発曲率を持つ脂質を混合すると、高温では均一一相の球形ベシクルを形成するが降温すると膜面上に一つだけ孔が空くことがわかった。孔は、円形に空いたシンプルなもの、孔の縁が外側に反り返ったもの、孔から放射状に膜面上に皺が寄っているものの3種類あり、ベシクル成分に占めるDHPC濃度によって形が決まる。また、孔は昇温により閉じ、再び均一一相の球形ベシクルに戻ることから孔形成に関しても温度のみでコントロール可能であることがわかった。
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Research Products
(6 results)