2008 Fiscal Year Annual Research Report
ハンディー全反射蛍光X線分析装置を用いたピコグラムレベルの元素分析
Project/Area Number |
08J03007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
国村 伸祐 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蛍光X線分析 |
Research Abstract |
全反射蛍光X線分析では,シンクロトロン放射光のような強力X線源から発生するX線を単色化して用いることにより検出感度が改善されてきた.一方,われわれはハンディー全反射蛍光X線分析装置を試作し,1W(管電圧:9.5kV)のX線管からの白色X線を用いて1ngの検出下限が得られたことを2007年に報告した(S.Kunimura and J.Kawai,Anal.Chem.79,2593(2007)).本研究では本装置の検出感度を更に改善することを目的とした.最大管電圧が50kVのX線管を用い発生するX線エネルギーを広げることにより,検出感度を改善することを試みた.そして,管電圧20kV, 管電流70μA(1W)の条件で発生させた非単色X線を用いることにより,コバルトにおいて30pgの検出下限を達成した.続いて,入射X線を単色化し検出感度を更に改善することを試みた.しかし,モノクロメータとして金属箔を用いることによりスペクトルのバックグラウンドは減少したが,各元素の励起に用いられるX線の強度も弱くなったために,蛍光X線強度も著しく低下し検出下限は悪化した.この結果から,全反射蛍光X線分析では入射X線を単色化せずに用い,本来得られる励起効率を維持することにより検出下限を改善できることが明らかになった.しかし,高強度X線源からのX線を単色化せずに用いると検出器が飽和する場合がある.その時には入射X線を単色化し強度を落とす必要があり,微弱X線源から発生する非単色X線の方が高強度X線源から取り出した単色化X線よりも強くなるという逆転現象が起こりうる.そのような場合には,微弱X線源を用いる方が検出下限の改善のために効果的になりうると考えられる.本装置は,微弱X線源から発生する広いエネルギー範囲をもつX線を用いることにより,シンクロトロン放射光に迫るpg量の検出下限を達成した.
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Research Products
(19 results)