2008 Fiscal Year Annual Research Report
核内タンパク質の品質管理に寄与するユビキチンリガーゼの同定とその分子基盤の解析
Project/Area Number |
08J03250
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松尾 祐児 Tottori University, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員-DC2
|
Keywords | 分裂酵母 / 核内タンパク質の品質管理 / ユビキチンリガーゼ / ユビキチン・プロテアソーム系 |
Research Abstract |
近年、細胞質におけるタンパク質の品質管理については研究が盛んになされているのに対して、核内タンパク質の品質管理の解明は大いに遅れているのが現状である。本年度の研究目的は核内タンパク質の品質管理に重要な役割を持つユビキチン・プロテアソーム系(以下、UPSと略す)の中枢であるユビキチンリガーゼ(以下、E3と略す)を同定することであった。研究実施計画に基づき、まず分裂酵母データベースからin silicoにより次のような条件に該当するE3候補遺伝子を網羅的に探索した。すなわち、(1)少なくとも核内に局在し、(2)E3タンパク質に特徴的なドメイン構造を有し、(3)タンパク質の変性を促すストレス条件において転写誘導が起こることが報告されている遺伝子である。その結果、機能未知の4個のE3候補遺伝子が該当した。次にこれら4つの推定核内E3遺伝子の機能を解析するために、それぞれの遺伝子破壊株を作製してモデル基質である核内変異タンパク質の分解とポリュビキチン化の有無について野生株と比較した。するとSPBC2A9.04c遺伝子破壊株においてモデル基質のポリュビキチン化は有意に減少する一方で、分解は完全には抑制されていないことを見出した。興味深いことにこの遺伝子はアミノ酸の相同性から出芽酵母で既に核内タンパク質品質管理に寄与することが報告されているSAN1というE3遺伝子の分裂酵母オルソログと推定された。この結果は出芽酵母と類似の核内タンパク質の品質管理機構が分裂酵母においても存在することを示唆していた。以上の結果をまとめると、分裂酵母の核内タンパク質の品質管理にはE3として少なくとも分裂酵母Sanlオルソログが関与する可能性を見出した。
|
Research Products
(1 results)