2009 Fiscal Year Annual Research Report
化学形態に着目したフィールド調査と室内実験に基づくヨウ素の水-土壌系での挙動解析
Project/Area Number |
08J03377
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
嶋本 洋子 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヨウ素 / X線吸収端近傍構造 / HPLC-ICP-MS |
Research Abstract |
本研究の目的は,ヨウ素の供給・化学変化・移動機構を明らかにすることである.本年度は以下の三点を行った.[1]千葉県養老温泉におけるフィールド調査:前年度までの研究で,ヨウ素は土壌へ有機ヨウ素として蓄積されていることが分かっている.先行研究では,I_2やHIOが腐植物質と反応しやすいと言われている.そこで,I・の酸化酵素であるラッカーゼの定量を行ったところ,表層土壌でラッカーゼの活動度が高いことが明らかとなった.これは,表層環境でのヨウ素の固定化には微生物活動が重要な役割を果たしており,表層において有機化反応が促進しやすいことを示している.[2]屋久島でのフィールド調査:屋久島の調査は,海水から揮散したヨウ素が雨によって土壌へもたらされた場合を想定して行っている.土壌中のヨウ素濃度は,表層の腐植土層よりも,その下層のアカホヤ火山灰層で高くなっていた.アカホヤ火山灰層の土壌中のヨウ素の化学形態をX線吸収微細構造で調べたところ,有機ヨウ素であることが明らかになった.[3]幌延地域で採取されたコア試料を用いたヨウ素の長期挙動予測:幌延地域で掘削されている堆積岩試料(HDB-6,11)中に含まれるヨウ素濃度を調べたところ,深部(特に稚内層)でヨウ素濃度が低くなっていることが明らかになった.一方,間隙水中のヨウ素濃度は深部で非常に高くなっていた.また,間隙水中のヨウ素の同位体比(^<129>I/^<127>I)を測定したところ,稚内層では52-53Ma,声問層では42-46Maのヨウ素年代が算出された:さらに,堆積岩中のヨウ素の化学形態は有機ヨウ素と無機ヨウ素の混合で,間隙水中のヨウ素の化学形態はI・であった.以上より,堆積岩中に有機態で濃縮・固定されていたヨウ素が還元的環境で解離し,I・として間隙水中に溶出した可能性が高い.本結果は,高ヨウ素濃度のかん水形成過程の理解に重要な知見を与える.
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Research Products
(4 results)