2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内ミクロ環境を制御するタンパク質機能解析のための蛍光イメージング法
Project/Area Number |
08J03557
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
瀬戸 大輔 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蛍光プローブ / ペプチドタグ / タンパク質標識 / レシオ計測 / 細胞内導入 |
Research Abstract |
本研究は、細胞内タンパク質の挙動とその周辺環境変化を可視化するための蛍光プローブ/ペプチドタグペアの開発を目的としており、これまでの研究成果よりタンパク質のレシオ計測を可能とする新規なタンパク質蛍光標識方法の構築に成功している。しかしながら、タンパク質の挙動のみならず、その周辺環境の変化も同時に計測できる蛍光プローブは未だ開発されていない。そこで本年度は、pH感受性と極性感受性を有する蛍光色素である、carboxynaphthofluorescein(CNF)を有する新規蛍光プローブ、CNF-NTA-Ni^<2+> complexと、疎水性アミノ酸とHis-tagを組み合わせた新規ペプチドタグとを合成し、タンパク質とpHの同時イメージングを可能とする標識法の開発を試みた。また、アルギニン(Arg)リッチペプチド(Arg8)を用いる蛍光プローブの細胞内導入法についても検討した。 CNF-NTA-Ni^<2+> complexに、His-tagにTrpを付加したペプチドタグ(His-Trp-tag)を作用させたところ、His-Trp-tag標識に伴う蛍光強度の減少と蛍光スペクトルのレッドシフトが見られた。これは、TrpからCNFへの電子移動が生じたこと、TrpとCNFとの疎水性相互作用が働いたことによるものと考えられる。また、この時、pH変化に伴う蛍光スペクトルのレシオ変化も観測された。この結果から、本標識法によるタンパク質と細胞内pHの同時計測が可能であることが示唆された。細胞内導入法の検討においては、Stearyl基を導入したArgリッチペプチド(STR-Arg8)を用いることにより、Arg8と比較して、蛍光プローブの細胞内導入効率が大幅に上昇する様子が観察された。本研究の成果は、タンパク質の未知の機能解明から生命科学の進展に資するものと期待される。
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Research Products
(2 results)