2009 Fiscal Year Annual Research Report
ABCA1によるapoA-I依存コレステロール排出およびその調節機構の解明
Project/Area Number |
08J04207
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長尾 耕治郎 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ABCA1 / apoA-I / cholesterol / HDL |
Research Abstract |
末梢組織で過剰になったコレステロールは善玉コレステロールとして知られる高密度リポタンパク質(HDL)のかたちでコレステロールの異化器官である肝臓へと血液中を輸送される。このHDLの新生を行うのがATP-binding cassette(ABC)タンパク質ファミリーのひとつABCA1である。ABCA1は細胞膜上で血中の脂質アクセプターのapoA-Iと相互作用し、ATPの加水分解を駆動力として細胞のコレステロールとリン脂質をapoA-Iへ受け渡しHDLを形成する。このように、ABCA1は末梢組織から余剰なコレステロールの除去することによって、コレステロール恒常性維持のために重要な役割を果たしているが、佃CA1がどのようにしてapoA-Iと結合するのかほとんどわかっていなかった。そこで、本研究ではABCA1とapoA-Iの結合様式の解析を行った。ApoA-Iには負電荷のクラスターが存在することが結晶構造より示されているため、ABCA1の正電荷とapoA-Iの負電荷が静電相互作用により引き付けあうことによって結合するという仮説を立てた。負電荷を帯びたヘパリンおよび正電荷を帯びたポリ-L-リジンは、それぞれABCA1とapoA-Iの結合を濃度依存的に抑制した。このことから、ABCA1とapoA-Iの結合に静電相互作用が関与することが示唆された。また、ABCA1のリジン残基のN-hydroxysuccinimido(MIS)-Acetateによるアセチル化修飾またはSulfо-NHS-Biotinによるビオチン化修飾により、ABCA1とapoA-Iの結合が阻害された。これらの結果より、ABCA1めリジン残基からなる正電荷のクラスターとapoA-Iの負電荷のクラスターの間の静電相互作用によりABCA1とapoA-Iが結合することが明らかになった。
|
Research Products
(6 results)