2008 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア・ダイナミクスの制御による雄性不稔植物作出技術の開発
Project/Area Number |
08J04574
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岡 尚平 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ミトコンドリア / 花粉 / 胚発生 / 配偶子形成 / 雄性不稔 |
Research Abstract |
最近研究代表者らはシロイヌナズナ新奇ミトコンドリア局在型GTPase、MIRO1が植物におけるミトコンドリアのダイナミクス制御に関おり、花粉の機能と胚発生に重要であることを明らかにした。本研究ではこれに基づき、1)MIRO1によるミトコンドリア・ダイナミクス制御の分子機構と、2)植物の発生における役割の全容を明らかにし、3)その分子機構を利用した雄性不稔性操作の技術開発を試みることを目的とする。 本年度の成果として、1)miro1変異表現型を相補するゲノム領域を特定した。またその領域の改変によりGFP:MIRO1融合タンパク質を発現する形質転換植物を現在作成している。この植物作出により、来年度以降MIRO1分子複合体の同定と、植物細胞内での分子複合体の動態の詳細な解析が可能になると考えられる。また、2)配偶子および初期胚細胞で特異的に発現する遺伝子のプロモータ下流にミトコンドリア局在型GFPをつないだベクターを導入した形質転換植物を作出した。この植物を用いて、雌性配偶子形成および初期胚発生過程における細胞質ミトコンドリアのダイナミクスをリアルタイムで可視化することに成功した。またmiro1変異体では同様の発生過程においてミトコンドリアの肥大化もしくは凝集が生じており、MIRO1が配偶子形成および初期胚発生過程においてミトコンドリアの形態維持もしくは細胞内分布に重要な役割を果たすことが示唆された。本研究はとれまで未知の部分の多い生殖過程におけるミトコンドリア・ダイナミクスの全容を初めて明らかにしうるものである。
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