2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規分子動力学法による金属酵素反応システムの機能発現機構の解明
Project/Area Number |
08J05437
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
庄司 光男 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 分子動力学 / 金属酵素 / 反応機構 / プロトン移動 / 量子動力学 / アンモニア / Empirical Valence Bond(EVB) |
Research Abstract |
本研究では生体内の金属酵素での反応機構サイクルを解明するための新規方法論の開発とその適用を行うことを最終目標にしている。対象とする系のサイズは大規模でありかつ、時間スケールも極めて長いため現在の方法論では取り扱えていない。しかしながら生体内反応は重要かつ高効率なエネルギー、物質変換過程として極めて優れており、全体としての仕組みを解明することは極めて重要である。特にこれまで行われてきているような反応過程のごく一部の反応過程を解明するだけでは物質変換過程について解明できたとはとても言えない。 この問題を解決するため、筆者は幾つかの新規分子動力学法の方法論の開発を行うことを試みた。 1)多段階の反応過程を記述できる新規分子動力学法 結合の生成、開裂はEmpirical Valence Bond(EVB)法を用いることで有効的にポテンシャルを構築した。また常に基底結合状態の力場に更新し、励起結合状態の力場も更新していくことで多段階反応でも結合の生成、開裂を記述できる新規分子動力学法(Dynamical EVB)を開発した。Fortran95で新たにコードを作成し、1年間かけてNVE条件で複数の励起結合状態を参照できる新規プログラムを作成した。モデル系としてアンモニア液体中でのアンモニウムイオン(プロトン)移動反応を選んだ。アンモニウムイオンはアンモニア液体中で4つのアンモニア分子と水素結合する。そのため本シミュレーションでは、これら4つの励起結合状態を考慮して、フレキシブルなプロトン移動過程を記述できるようにした。実際、本方法論により分子間プロトン移動ダイナミックスが記述できていることを確認した。
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Research Products
(3 results)