2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞質内におけるウイルス感染及び核酸認識機構の解明
Project/Area Number |
08J06391
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 亮子 Kyushu University, 特別研究員(DC1)
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Keywords | TRAF6 / RNAウイルス / RIG-I / インターフェロン / NF-kB / シグナル伝達 / プロモーター / アダプター |
Research Abstract |
ウイルス感染に対する生体防御は感染初期の自然免疫反応と、その後に誘導される獲得免疫反応の両者が協調して働くことによって行われる。RNAウイルス感染におけるウイルスの認識は細胞内受容体であるRetinoic acid-Inducible Gene-I(RIG-I)などによって担われ、特にI型IFNの産生は、自然免疫における抗ウイルス活性の中心的な役割を担っている。今回、ウイルス誘導性I型IFN産生におけるTRAF6の役割について解析を行った。TRAF6欠損マウス由来の繊維芽細胞及び樹状細胞では、水泡性口内炎ウイルス(VSV)感染あるいは二本鎖RNA poly(I:C)のリポフェクション法による導入で誘導されるIFNβの産生が欠如していた。またTRAF6欠損繊維芽細胞は野生型に比べVSV感染による細胞死がより強く誘導された。この細胞死はTRAF6の強制発現により野生型レベルまで回復した。さらに、VSV感染によるIFNβプロモーターの活性化は、ドミナントネガティブ(DN)型TRAF6あるいはTRAF6直下に位置するSer/ThrキナーゼTAK1のキナーゼネガティブ(KN)型変異体の過剰発現によって抑制された。同様にDN型TRAF6及びKN型TAK1は、RIG-I及びその下流アダプター分子であるInterferon-β promoter stimulator 1(IPS-1)の過剰発現によるIFNβプロモーターの活性化も抑制した。これらのことから、TRAF6はRIG-I、IPS-1の下流に位置し、ウイルス感染におけるI型IFNの産生に重要な分子であることが示唆された。現在、ウイルス感染によるRIG-I、IPS-Iを介したシグナル伝達経路においてTRAF6がどの分子と相互作用をするか詳細な解析を進めている。
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Research Products
(3 results)