2008 Fiscal Year Annual Research Report
単純ヘルペスウイルスUL56遺伝子のユビキチンシステム制御に関する研究
Project/Area Number |
08J07388
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
牛島 洋子 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス / UL56遺伝子 / Nedd4 / ユビキチンシステム |
Research Abstract |
単純ヘルペスウイルス(Herpes Simplex Virus:HSV)UL56遺伝子は増殖に必須でないが、病原性、特に神経病原性発現への関与が示唆される遺伝子である。HSV2型(HSV-2)UL56遺伝子産物(UL56)とユビキチンシステムとの関連を解析した。 [1]UL56とユビキチンリガーゼNedd4との相互作用 HSV-2感染細胞およびUL56一過性発現細胞において、免疫沈降法での共沈降および免疫蛍光染色での細胞内共局在を示し、両者の相互作用を明らかにした。相互作用にはUL56のPPXYモチーフが重要であった。 [2]HSV-2感染によるNedd4の変化とUL56の役割 Nedd4はHSV-2野生株感染によりリン酸化され減少し、減少にはプロテアソーム系による分解が関与していた。UL56欠損株感染ではこの変化は見られず、UL56依存的機構によると考えられた。感染細胞ではUL56はユビキチン化Nedd4を増加させており、さらに、UL56一過性発現細胞での解析よりUL56は他のウイルス蛋白非存在下でもユビキチン化Nedd4を増加させ、Nedd4の減少を引き起こすことが示唆された。一方、UL56のユビキチン化は検出されず、UL56はNedd4の基質ではないと考えられた。 [3]UL56欠損のウイルス増殖への影響 UL56復帰HSV-2を作製し、HSV-2野生株、UL56欠損株およびUL56復帰株の増殖能を、HEp-2細胞(ヒト喉頭癌由来細胞)、SK-N-SH細胞(ヒト神経芽細胞腫由来細胞)で検討した。3株間に明らかな差異は見られず、UL56欠損のウイルス増殖への影響は上記細胞系では明らかでなかった。 HSV感染が細胞のユビキチンリガーゼの動態を変化させるとの報告は初めてである。 今後、HSV-2感染におけるNedd4の変化、UL56との相互作用の意義を明らかにすべく解析を進めていく。
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Research Products
(4 results)