2008 Fiscal Year Annual Research Report
中央アンデス高地における牧畜活動とその牧民社会における意味に関する人類学的研究
Project/Area Number |
08J07689
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若林 大我 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 文化人類学 / アンデス / 牧畜 / ペルー / 先住民共同体 |
Research Abstract |
本研究は、中央アンデス高地において古くから行われてきたラクダ科動物を中心とする牧畜について、その社会・経済・生態的機構ならびに、その舞台となる社会に対して牧畜が持つ意味を解明することを目的としている。平成19年度までに、ペルー共和国南部高地の先住民共同体パンパリャクタ・アルク(以下PAと略記)において、家畜飼育・利用の実態調査を行ってきたが、前年度はこれまでの調査で得られた量的データを補う質的データの収集に努めた。 平成19年度までに行ったPAにおける調査では、共同体内の全世帯を対象とする網羅的な牧畜センサス、及び各世帯居住地のハンディGPS端末による位置情報収集を実施し、この社会の牧畜形態(飼育規模、牧草地利用、自然環境等)をある程度把握することができたが、同時に世帯毎の家畜マネジメント戦略には、そうした数量的なデータからだけでは説明できない要素(親族関係をけじめとする共同体内の社会関係、牧草地の利用権、農耕地へのアクセス等)も大きく影響していることが明らかとなった。更に牧畜に係る儀礼・祭礼等の観察・記録を通じて、PAの人々が牧畜という生業活動を行なうにあたり、その背景として一種の"思考のモード"とでも呼ぶべきものが存在することも、仮定として導かれた。 そこで昨年度は、調査対象を浅く不完全なまま拡大するよりも、PAという1つの社会における牧畜への理解を深めるため、2008年6月〜11月、2008年12月〜2009年1月の二度に渡り、PAに住み込んでの追加調査を実施した。この追加調査では、神話・説話の収集・分析による"思考のモード"の追究、及び直接観察による共同体内の社会関係の描出に主眼を置き、PAの牧畜活動を取り巻く社会・文化的状況を明らかにすることを目的とした。
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Research Products
(1 results)