2008 Fiscal Year Annual Research Report
進行性腎障害由来蛋白尿における糸球体上皮細胞(プロ)レニン受容体の役割
Project/Area Number |
08J07767
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
迫田 万里代 Keio University, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ポドサイト / (プロ)レニン受容体 / レニン-アンジオテンシン系 |
Research Abstract |
高血圧(圧伸展刺激)が惹起する(プロ)レニン受容体[(P)RR]依存性経路は、ヒトポドサイトにおいてアンジオテンシンII(AngII)産生とAngII非依存性経路を介してアポトーシスや細胞増殖、スリット膜蛋白の発現調節を司っており、この系を介して糸球体硬化、蛋白尿などの腎臓障害をきたすことが推測される。 平成20年度においては、圧伸展刺激を負荷した環境下におけるヒト培養ポドサイトを用いて、(1)プロレニン負荷がAngII産生に及ぼす影響、(2)(P)RRのAngII依存性、非依存性機構が前記(1)に及ぼす影響の検討を行った。まず、ヒト培養ポドサイトにおける(P)RRの存在をreal time RT-PCR法、Western blot法を用いてmRNA、蛋白レベルで確認した。また、プロレニン負荷による(P)RR刺激によって産生される細胞内AngIIをELIZA法で定量した。この細胞内AngII産生は、圧伸展刺激で増加し、siRNAを用いた(P)RRノックダウン処理、ACE阻害薬、direct renin inhibitorにより抑制されることを確認した。一方で、AngII非依存性機構である、プロレニン負荷によるERKリン酸化作用は、いずれのレニン-アンジオテンシン系(RAS)抑制薬では抑制されず、siRNAを用いた(P)RR mRNAノックダウンにのみにより抑制された。 これらより、既存のRAS抑制薬では、圧伸展刺激によるAngII依存性機構は抑制できたがAngII非依存性機構は抑制できず、siRNAによる(P)RRノックダウンのみが、AngII依存性・非依存性機構の抑制作用を有することが確認された。 したがって、高血圧環境下のAngII非依存性機構の阻害においては、(P)RR阻害が重要な役割を果たし、既存のRAS抑制薬以上の臓器保護効果を期待できる可能性が示唆された。 現在英文雑誌に本成果を投稿中である。
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Research Products
(12 results)