2008 Fiscal Year Annual Research Report
状況的行為の観点から見た情報利用:知識の実践的マネジメント概念を援用して
Project/Area Number |
08J08156
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
粟村 倫久 Keio University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 情報利用研究 / エスノメソドロジー / フィールドワーク / 状況的行為 / エスノグラフィー / 情報行動 / ナレッジマネジメント |
Research Abstract |
報告者の研究の目的は、組織体のワークの実践者による知識の実践的マネジメントの達成と状況に埋め込まれた情報利用の達成の相互関係性を詳細に明らかにすることである。方法論的側面では、エスノメソドロジー・フィールドワークを採用している。 2008年度の報告者の研究は、大きく二点からなる。一点は、研究の理論的意義をより詳細・明確に示すことを狙いとした、既往研究の論点整理である。報告者の研究は、情報利用研究の社会的アプローチの知見の発展に寄与すると強く予想されるものとして、状況に埋め込まれた情報利用に焦点をあてている。本年度は、社会的アプローチによる研究の中心的研究者であるElfreda A.Chatmanによる研究視点を改めて詳細に検討し、社会的アプローチによる情報利用研究の一つの到達点、そこから見出される今後の研究の展開方向性を具体的に整理・提示した[学会発表後、投稿中]。以上の検討から、報告者の理論的意義の支持・強化につながる知見が得られた。 もう一点は、パロアルト研究所の研究プロジェクトに参加する形で遂行した、ある企業におけるフィールドワークである。得られたデータは、今後、研究目的にある組織体のワークの実践者による知識の実践的マネジメントの達成と状況に埋め込まれた情報利用の達成の相互関係性をエスノメソドロジー的に記述・分析する上で、題材とする。また既に、実際の記述・分析の一部を上記研究プロジェクトメンバーとの共同研究として提示した。具体的には、報告者たちの視点が情報利用研究で最近提示された概念装置(HIB・CIB)に見られる視点を拡大・進展させるものとして位置づけられること、並びに報告者たちの記述・分析が題材としたフィールドのワークに実際的な還元をもたらしたことを論じた[投稿中]。また、学会発表は、最新の図書館・情報サービスの理論に寄与するものである。
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Research Products
(3 results)