2008 Fiscal Year Annual Research Report
モレキュラーグルーの開拓と生体分子の非共有結合的修飾
Project/Area Number |
08J08892
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大黒 耕 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | デンドリマー / グアニジン / タンパク質修飾 / 非共有結合的修飾 |
Research Abstract |
1.モレキュラーグルーを用いたチューブリンの修飾による活性制御 チューブリンヘテロ二量体の重合体である微小管の重合・脱重合は細胞分裂や物質輸送などを制御する重要な生体反応である。このような事象に対するモレキュラーグルーの接着効果を調べたところ、通常低温条件下(15℃)において脱重合する微小管が、モレキュラーグルーが接着することにより安定化され、その脱重合を阻害することを分光学的手法、透過型電子顕微鏡観察によって明らかにした。蛍光ラベル化されたモレキュラーグルーを新たに合成し、微小管に添加後、共焦点顕微鏡観察を行うことで、モレキュラーグルーが微小管表面に接着していることを確認した。これらの成果は、今年度アメリカ化学会誌にて報告した(Okuro,K.et al.J.Am.Chem.Soc.,2009,131,1626)。 2.モレキュラーグルーを用いたタンパク質の機能制御 タンパク質の機能が織り成す生理現象の一つとして、筋肉の収縮運動に着目した。筋肉の収縮はATPの加水分解に共役したミオシンとアクチンの滑り運動に由来する。実験的には蛍光標識したアクチンフィラメントがガラス表面に固定されたミオシン上を滑る様子が蛍光顕微鏡観察によって確認できる。ここにモレキュラーグルーを添加することで、アクチンフィラメントの滑り運動速度を減少させ、さらには停止させることを見出した。この滑り運動の停止は可逆的であり、バッファーによるモレキュラーグルーの洗浄・除去を行うことで運動を再開させることにも成功している。このようにモレキュラーグルーを用いたタンパク質機能の制御の一例として、アクチン-ミオシン間の滑り運動に対して化学的な摩擦を生み出し、可逆的にその運動をコントロールすることに成功した(Okuro,K.et al.to be submitted)。
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Research Products
(5 results)