2008 Fiscal Year Annual Research Report
Phospholipase C-deltalは皮膚恒常性維持に必須である
Project/Area Number |
08J09851
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
一戸 学 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ホスホリパーゼC / 体毛形成 / Foxn1 |
Research Abstract |
毛形成におけるPLCδ1の役割解明 Foxn1プロモーター領域下流にPLCδ1遺伝子を連結させたトランスジーンを持つFoxn1::PLCδ1TGマウスを作製し、ヌードマウスと交配することでFoxn1::PLCδ1TG/Nudeマウスを作製した。Foxn1::PLCδ1TG/Nudeマウスでは外見上ヌードマウスと同様であり、体毛の形成は観察されないままであった。そこで組織学的解析により詳細な解析を行った。生後28日目のヌードマウスの皮膚では毛根部が退縮していて毛の形成がほとんど観察されないことに対し、Foxn1::PLCδ1TG/Nudeマウスでは、毛が体表付近で折れ曲がり体表を貫通できていないものの、毛根部では毛がしっかりと形成されている様子が観察された。さらにmHa3をけじめとする毛を形成する各ヘアケラチン遺伝子の発現についてRT-PCR法で検討したところ、ヌードマウスと比較してFoxn1::PLCδ1TG/Nudeマウスでは各ヘアケラチン遺伝子の発現が増大していることが判明した。しかしながらFoxn1::PLCδ1TG/Nudeマウスでの各ヘアケラチン遺伝子の発現量は野生型マウスの発現量までには達しておらず、不完全な回復であることが判明した。Foxn1::PLCδ1TG/Nudeマウスでヘアケラチン遺伝子の発現量の回復が不完全であることがFoxn1::PLCδ1TG/Nudeマウスで外見上の体毛形成の正常化が観察されなかった原因の一つとして考えられる。また、野生型マウスの発現量には達していなかったものの、Foxn1::PLCδ1TG/Nudeマウスでヘアケラチン遺伝子の発現上昇が観察されたことから、PLCδ1がFoxn1下流分子としてヘアケラチン発現に関与していることが強く示唆された。今後PLCδ1によりヘアケラチン発現が回復する分子機序を同定することにより、体毛形成シグナルの解明につながることが期待できる。
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Research Products
(3 results)