2009 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体を媒体とする菌体触媒を用いた非水系バイオプロセスの構築
Project/Area Number |
08J10593
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 悦司 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イオン液体 / 酵素 |
Research Abstract |
研究計画調書に従って、菌体触媒の研究と並行し、単一の酵素(ニワトリ卵白リゾチーム)を用いた以下の研究を中心に行った。リゾチームは通常は通常は加水分解反応を進行させるが、含水量が少ない有機溶媒中では、糖転移反応を進行させることが知られている。従って、イオン液体を含む含水量が少ない環境下でも糖転移反応や加水分解反応の制御が可能になると考えられる。また、イオン液体の種類によっては、糖類や疎水性化合物を溶かす性質も併せ持つため、反応場中基質濃度を高め、反応効率を上げることが出来ると考えられる。そこでN-アセチルオリゴ糖をイオン液体含有溶媒中で糖転移反応により、糖鎖伸長させることを試みた。 リゾチームの反応場に最適なイオン液体のスクリーニングを行ったところ、1-エチルー3-メチルイミダゾリウムクロリド(C2MImCl)が、酵素を変性させないことが分かった。アニオンがメチル硫酸エステル、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレートからなるイオン液体はリゾチームを変性させることが酵素活性測定から分かった。また、Hofmeister系列から、疎水性の低いカオトロピックカチオン及びコスモトロピックアニオンからなるイオン液体が、反応場に適していることが分かった。 0.5MのC2MImClを含むバッファーにリゾチーム及び二糖を添加し、反応の経時変化を測定したところ、2時間の反応では原料のピークしか検出されなかったが、4時間反応させると、単糖及び三糖が得られた(組成比は、単糖:二糖:三糖=3.2:81:1)。単糖は二糖の加水分解反応により生じ、三糖は糖転移反応により伸長したものと考えられる。この結果から、イオン液体とリゾチームを用いた、糖鎖伸長反応に成功したといえる。現在、加水分解反応の抑制及び反応場に最適なイオン液体添加濃度について検討を行っている。
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Research Products
(1 results)