2009 Fiscal Year Annual Research Report
24-ハイドロキシコレステロール特異的結合タンパク質の生理的・病理的意義の解明
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08J11481
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇田川 理 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オキシステロール / ORP4 |
Research Abstract |
これまで私はORP4が24-HCと結合しその局在を変化させるだけでなく、24-HC産生酵素である24-hydroxylaseと共通の神経細胞に発現し同調的に発現変化することを明らかにしており、ORP4が新たな24-HCの受容体の候補と考えている。ORP4は脳と精巣に特異的に発現している。本年度において作製したORP4欠損マウスの解析を行ったところ、精巣において顕著な表現型を得たため、まずは精巣の解析を行う事にした。ORP4欠損マウスはメンデル則に従い出生し、外見上顕著な表現型を示さなかった。一方、ホモ欠損マウスを用いて交配を行ったところ、雌マウスは生殖可能であったが、雄マウスは生殖能が全く認められず雄性プラグ不妊であることが分かった。精巣および精子を詳細に解析したところ、精巣には顕著な異常は見られなかったが、精子数が減少していた。従って、ORP4欠損マウスでは精子の形成機構に異常が生じていると考えられた。精子形成は精細管の外層から内層へ向けて進行し、1)体細胞分裂、2)減数分裂、3)精子変態の3つの過程に大別される。ORP4欠損マウスの精原細胞では減数分裂は進行するものの、精子頭部から細胞質が脱離する精子の変態過程に異常が生じていた。この結果、ORP4欠損マウスの精子では細胞質が精子頭部に残存して丸くなる"Globozoospermia(頭部円形精子症)"を呈した。これらの精子は運動能が低下しており、また受精能も認められなかった。近年、"Globozoospermia"を示す変異マウスが次々に報告され、ゴルジ体から核近傍のオルガネラ(アクロソーム前駆顆粒)への小胞輸送がこの現象に深く関与することが示唆されている。私はORP4がPHドメインを介してゴルジ体に局在することを見出しており、新年度はこれらの現象とステロールの関連について、分子機構を明らかにしていきたい。また、この分子機構解析を通して脳の表現型解析への手がかりを掴みたい。
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Research Products
(2 results)