2008 Fiscal Year Annual Research Report
火星大気飛行中の極限流れにおける翼の空力特性の実験的解明
Project/Area Number |
08J56081
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安養寺 正之 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 火星探査 / 火星大気風洞 / 低レイノルズ数 / 高亜音速 / 境界層の発達 / 気流検定 / エジェクター |
Research Abstract |
本年度の主な研究内容は二つで,火星大気風洞測定部の気流の質の調査と駆動系であるエジェクターの性能評価を行った.本風洞は火星大気中を飛行する際の気流を模擬するため低レイノルズ数で高亜音速な流れとなる.特に低レイノルズ数流れでは壁面での境界層の発達が著しいため,気流の一様流領域が狭くなることが考えられる.そのため翼型試験の実施に向けて,予め気流の一様性を調査することは重要である.また,火星大気のような低圧環境下で高亜音流れを実現するため,気流の駆動装置としてエジェクターを用いている.しかし,低圧環境下で高亜音速流を実現した風洞は世界的にもほとんど例がなく,火星飛行の模擬に必要な高亜音速流れを実現した例は報告されていない.そのため,低圧環境下でのエジェクターの駆動性能を明らかにする必要がある. 測定部の気流検定試験ではピトー管を用いて流速を計測し,総圧と供給圧力を変化させて実験を行った.その結果,いずれの総圧条件でも広い範囲で一様流が確保できていることが分かった.また火星大気に最も近い総圧付近では流速のばらつきは最も小さく,翼型試験を行うには十分な一様流が確保できていることが分かった.一方,エジェクターの性能を評価するため,供給側の一次流量と測定部で誘起される二次流量の比である駆動流量比を調べた.その結果,供給圧力の低下に伴う駆動流量比の減少は著しい.また総圧変化と共に気体の混合効率が低下するため,駆動流量比は減少する.しかし低圧環境で混合効率が低下するものの,最高流速246m/s,マッハ数0.71に達した.これにより本風洞で火星大気飛行の模擬に必要なマッハ数を実現できることが確認された.
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Research Products
(2 results)