2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノバイオ応用のためのナノツールの創製と応用に関する研究
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08J56351
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野川 晃佑 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノピベット / 局所環境制御 / 単一細胞解析 / べん毛 |
Research Abstract |
本研究課題では,「プローブ型ナノツールを用いた局所環境制御技術による単一細胞解析システム」の構築を最終目標としているが,プローブ型ナノツールの一つであるナノピペットによる局所環境制御において,ナノピペットからの噴出量や噴出方向に関する評価は不可欠である.そこで,これまでに我々が作製した「有機ナノチューブ(ONT)ナノピペット」と呼ぶナノピペットからの電気的泳動力による溶液噴出に関して,主泳働力を特定することを目的に実験的な解析を行った.主泳動力を特定することで,より現象に即した数学的モデルの構築と,噴出量の定量的な評価・計測に生かすことができる.結果的に今年度は,噴出の主要因の特定にまでは至らなかったものの,可能性を絞り込むことができた.現在,特定に向けて引き続き研究を進めている. 次に,実際に応用的な実験を行うことで,最終目標到達までの課題をより明確化することができ,更には未完成ながら本システムの有用性を示すことにより医・理学分野の協力者及び助言を得,より研究を深めることができると考え,計画を前倒しして,現在我々が有する"ナノピペットを用いた局所環境制御システム"を細菌のべん毛を対象とした単一細胞解析に応用した.細菌の移動器官であるべん毛は,べん毛繊維をべん毛モータと呼ばれる分子機械が回転させている.このような分子機械であるべん毛の機能を詳細に解析することで,べん毛の回転原理の解明などが期待される.今年度は,2本のピペットを用いてNa^+を含んだ溶液とNa^+を含まない溶液の噴出を切り替えることにより,ダイナミックかつ繰り返しNa^+駆動型べん毛の回転速度を操作可能であるという結果を示した.また,印加電圧を変えてNa^+を含んだ溶液の噴出量を変化させることにより,Na^+駆動型べん毛の回転速度を定量的に制御できる可能性も示すことができた.
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Research Products
(3 results)