1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610052
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | 九州芸術工科大学 |
Principal Investigator |
米村 典子 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (30243976)
|
Keywords | 女性画家 / ジェンダー / メアリ・カサット / ベルト・モリゾ / マリ-・バシュキルツェフ / ロ-ザ・ボヌ-ル |
Research Abstract |
アトリエの女性画家は,写真に撮られ,絵画化され,カリカチュアにされ,さらにはファッション雑誌の挿し絵にも登場した.彼女たちはどのような場所で描いたのか,「自分だけの部屋」で描いたのか,その部屋で画家はどのような服装で描いていたか,あるいは描いていたと表象されたがったか.そして,モデルたちは彼女とどんな関係を結んでいるのか.こうした観点にたって,本年度は,印象派に属するベルト・モリゾやメアリ・カサットだけではなく,19世紀後半によりアカデミックな作風で描いたマリ-・バシュキルツェフやロ-ザ・ボヌ-ルをはじめとする女性画家たちの書簡集,画集などの資料を収集した.また,個人のアトリエおよび美術学校の教室としてのアトリエの写真も収集した.女性画家たちの作品やアトリエ内を描いた絵画や写真資料については,スライドに撮影し,コンピュータに画像として取り込みデータベース化している. 次年度に向けてこれらの資料に検討を加えた結果,今後の展開として,二つの方針を固めつつある。 1 女性画家の服装,とりわけ異性装および制作中の衣装という観点が,女性画家の自己イメージをよく示しているのではないか. 2 「見る」という本来男性側に割り当てられた積極的な立場に立った女性画家たちが,自己イメージとしての「女らしさ」と芸術活動という男性的行為をどのように両立させたかを,当時しばしば使われていた「女らしい芸術l'art feminin」という言葉の様々なレベルでの読みとりを援用することで明らかにできるのではないか.
|