1997 Fiscal Year Annual Research Report
学校週5日制が生み出す余暇空間に関する子どもと大人の意味づけの比較研究
Project/Area Number |
09610273
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山本 清洋 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (00079245)
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Keywords | 生活時間 / 遊び空間 / 学校週5日制 / 子ども分化 |
Research Abstract |
当初の計画では平成9年に小学生,平成10年度に中学生を対照として調査研究を実施する予定であった。しかし,平成9年度の調査に入り現地の教育機関や地域住民との折衝のなかで研究計画の時期を以下のように修正した。平成9年度は前年度までの研究で明らかになった子どもの生活構造から3つのタイプを抽出し,3つのタイプごとの生活時間調査を実施し,生活行動のマッピングを基にしてその特性を面接用の視覚的データに仕上げ,解釈的面接を行なう視点を特定する。従って,小学生を対象とした子どもと大人の遊び空間に対する面接は,平成10年度に実施することにした。この変更により中学生,小学生への面接の内容が詳細になり,比較検討する上でのデータの妥当性が高まる。 以下,平成9年度の研究実績の内容を概括する。 (1)昨年度までの生活時間の調査から,子どもの生活行動は(イ)スポーツクラブ型タイプ,(ロ)学習塾型タイプ,(ハ)非所属型タイプに分類できる。 (2)余暇空間の特性 (イ)休日土曜日の夕方までの行動には3つのタイプ間に違いがみられるが,夜間では約150分のテレビ視聴が3つのタイプの類似した行動である。 (ロ)スポーツ型タイプと学習塾型タイプは,スポーツや学習塾に遊びの時間帯が拘束されている。また,非所属型タイプは遊び時間とその裁量が保証されている。 (ハ)遊びの空間は,通学路の距離もいれて2km×4kmの範囲にあり,時として直線的に線として空間が変形する。その要因は,大人が仕掛けるスポーツ大会や文化的活動への参加である。 (ハ)僅かではあるが異年齢集団の<密度基地>と呼べる遊び空間があり,それらは対象群が居住する半農半魚という地域がもつ文化社会的特性に起因している。また,ファミコン空間は疑似的秘密基地として位置づけられる。 以上の結果から,1秘密基地,2ファミコン空間,3大人が仕掛ける文化空間,4自転車を媒介とした遊び空間,5テレビ視聴空間 6細切れに位置する伝承遊び空間等が解釈の視点として特定できた。 次年度は上述した分析視点に中学生の余暇空間の特性を加え,余暇空間についての大人と子どもの意味づけの差異を明らかにする。
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