2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09250
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 正治 Kyoto University, 化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KATHRIARACHCHIGE DON Suresb Kalue Katoriaracbcti 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 触媒・化学プロセス / 炭素-炭素結合生成 / 鉄触媒 / 鈴木-宮浦カップリング |
Research Abstract |
有用物質供給の基幹技術として有機合成化学の重要性は今後ますます増大することは明らかであるが,それと同時に,現行の資源大量消費型の有機化学工業の再構成,すなわち有機合成プロセスの省資源化,資源活用化の重要性が認識されつつある.新規化学変換反応の発見による,新たな分子構造構築法の開発や新規出発物質の開拓が,この合成化学の変革期の中心課題であることに疑いの余地は無い.本研究では,このような背景の下,安全・安価な鉄を使う炭素-炭素結合生成反応の位置および立体選択性の精密制御を達成し,更に有用物質合成へと応用することを目標としている.本年度は,炭素-炭素結合生成反応として工業的にも最も重要な反応の一つである鈴木-宮浦クロスカップリング反応の開発を検討した.種々の鉄触媒と反応試剤を検討した結果.アルキルホウ素化合物を求核剤,ハロゲン化アルキルを求電子剤とする鉄触媒アルキルーアルキルカップリング反応を見出した.一般的に有機ホウ素化合物の活性化には,塩基やフッ化物イオンを用いるがここでは,有機金属試薬を用いることが反応進行の鍵になっている.本手法は,エステルやニトリル等の極性官能基も共存可能であり,今後の反応条件,触媒の最適化により,医農薬中間体などの機能性材料の合成へと応用が期待される.また,本反応ではジホスフィン配位子が必須であることから,不斉配位子を用いることで立体選択的手法への展開も試みる予定である.
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