Research Abstract |
X線結晶構造解析を最終目的として,RNAポリメラーゼIIIの部分複合体であるC82/C34/C31複合体,及びC53/37複合体に関して,各サブユニットの共発現等を行い,可溶性発現を実現した.これらの複合体は他のRNAポリメラーゼには存在しないものであり,また,構造が類似したタンパク質等も発見できず,機能や構造に関する情報が強く望まれるものである.なお,発現系を作成するに当たっては,分裂酵母由来のものと,ヒト由来のもの,双方を作成した.様々な生物種を試すことは結晶構造解析の常套手段である上,比較的単純な酵母と高等動物であるヒトにおいて,共通点や相違点を調べることはそれ自体興味深いと考えられる.その後,酵母由来C82/C34/C31,C53/37,ヒト由来C82/C34/C31,それらの部分的なドメイン等に関して大量精製に成功,結晶化スクリーニングを行った.またそれと並行し,RNAポリメラーゼIII全体の再構成を目的として,RPC1/RPC2/AC19/AC40等,コア部分を構成するタンパク質に関して共発現系を作成した.こちらに関しても分裂酵母とヒトの両者について行った.ポリメラーゼのコア部分は100kDaを超える巨大なタンパク質であるが,菌株や培養条件等を検討することにより,少量ではあるが大腸菌での可溶性発現を実現することが出来た.これらに加え,RNAポリメラーゼIIIと相互作用し,転写開始に必要なことが知られている転写因子であるTBP,Brf,Bdp等の発現系を構築,それらの一部について精製を行った.さらに,ポリメラーゼ自体の機能的なポジティブコントロールを得ることや,それ自身の結晶構造解析を目指し,ピキア酵母の内在性RNAポリメラーゼIに関して大量精製法を確立した.
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