2009 Fiscal Year Annual Research Report
腐植物質-粘土粒子複合体のコロイド界面科学的性質と土壌中での移動特性
Project/Area Number |
09J00484
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
白鳥 克哉 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コロイド担体輸送 / 粘土粒子 / 腐植物質 / 表面荷電特性 / 粒子捕捉 / 粒子剥離 |
Research Abstract |
土壌中で化学物質の輸送担体として機能する腐植物質-粘土粒子複合体の移動特性を、コロイド界面化学的性質に基づき解析することを目的に、2種類の腐植物質-粘土粒子複合体のコロイド界面科化学的性質と移動特性を解析した。(1)フミン酸吸着カオリナイト粒子のコロイド界面化学的性質と捕捉・剥離挙動 (1.1)カオリナイト粒子に対するフミン酸の吸着挙動に与える溶存Al^<3+>の影響:粘土粒子に対する腐植物質の吸着挙動はpHの関数として測定されてきが、実際の土壌中では粘土粒子からの金属イオンの溶解が吸着現象と同時に進行するため、この影響を明らかにする必要がある。そこで、粘土粒子からAl^<3+>が溶解する条件下での腐植物質の吸着挙動を調べたところ、溶解Al^<3+>により腐植物質の吸着が著しく促進されることが明らかになった。 (1.2)フミン酸吸着カオリナイト粒子の捕捉・剥離挙動:腐植物質-粘土粒子複合体の移動現象を、砂充填カラム内でpHの関数として再現し、その結果を腐植物質の吸着挙動とそれに伴う表面荷電特性の変化に基づき解析した。その結果、腐植物質を吸着した粘土粒子のほうが、土壌に捕捉されにくく、また捕捉された粒子は剥離しにくいことが明らかになった。なお、この研究に際しカラムの再設計と2つの評価手法の比較を行った。評価手法の比較から、新たに導入した評価手法の妥当性と従来の評価手法の問題点を明らかにできた。 (2)イモゴライトの表面荷電特性と腐植物質との相互作用 (1.1)において「活性Al」の重要性が示されたため、土壌中で活性Al画分として知られ、火山灰土壌の性質を特徴付ける粘土鉱物であるイモゴライトの表面荷電特性と腐植物質との相互作用を明らかにした。その結果、イモゴライトの荷電特性評価には混在する低結晶性の鉱物の寄与が大きいこと、イモゴライトが永久荷電を有すること、純粋なAl酸化物に比べ中性~塩基性条件下で腐植物質の吸着量が低いことが明らかになった。また、これらの結果からイモゴライトの化学物質吸着機能や凝集分散特性は、表面荷電特性に加え、粒子の特異な形状の寄与が大きいことが示された。今後イモゴライト自身の構造と凝集分散挙動との関係を溶液化学性の関数として研究してゆく必要性が示された。
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Research Products
(3 results)