2009 Fiscal Year Annual Research Report
生理学的観点からの印象評価計測手法の探索-瞳孔径時間変動による感性評価抽出
Project/Area Number |
09J00898
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中森 志穂 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 瞳孔径 / 印象評価 / 画像 |
Research Abstract |
【背景および目的】これまでの研究の成果から、瞳孔径の変動が直感的印象評価の指標として利用できる可能性が示唆された。しかし、これをものづくりの現場に応用するには、(1)ものづくりの現場に使用するためには、データの分析に手間がかかりすぎる、(2)画面全体の評価だけでなく、部分の評価についてのデータが必要とされている、といった問題がある。(1)および(2)を解決するため、既に瞳孔径グラフ描画プログラムを開発した。これは瞳孔径の変動と注視位置情報を合わせて表示するシステムである。本プログラムでは、現在、瞳孔径変動(拡大/縮小)の判定基準として傾き係数を使用している。しかし注視時の前何秒をデータとして用いるかによって傾き係数は変化する。最適な条件を探るため、検討が必要である。本研究は、どの時点の瞳孔径変動を魅力指標として採用するかを決定し、グラフ描画プログラムに組み込むことを目的としている。 【本年度の研究】本年度は、研究計画書に記載した要領で、笑顔-無表情・怒り顔-無表情のペア刺激を作成し、刺激呈示中の瞳孔径を計測記録した。直感的印象評価の指標としては「好き-嫌い」の軸を採用し、5件法でデータを得た。これらのデータについて、ノイズや、データ処理などの分析方法の再検討、および分析を行った。 画像を「好き」画像呈示群と「嫌い」画像呈示群にわけ、分散分析で検討した結果、呈示後5秒程度までは群間に差がなく、続く5秒間で「好き」群での瞳孔径が「嫌い」群より、有意に大きいという結果が得られた。すなわち、「好き」群では時間が経過しても平行線であり、「嫌い」群では時間の経過に伴い瞳孔径が開いてくるということがわかった。「好き」より「嫌い」の方が瞳孔径に反映される可能性が高い事、また、直感的印象評価の推測には少なくとも5秒間以上の注視が必要であることがわかった。次年度は、これをもとにさらに直感的印象評価を生理学的観点から行う方法について検討して行く。
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