2009 Fiscal Year Annual Research Report
全天探査用広視野大型MeVガンマ線カメラの開発及び気球実験による天体観測
Project/Area Number |
09J01029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩城 智 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ガンマ線 / コンプトンカメラ / ガス検出器 / 気球実験 / ASIC |
Research Abstract |
我々は、独自に開発した微細構造ガス検出器、μ-PICを使った電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)を開発しており、これを用いた気球実験SMILEを計画している。現在、第二回気球実験SMILE-IIの準備中であるが、SMILE-IIでは検出器の大型化に伴い、読み出しチャンネル数が従来の約500chから3000chへと大幅に増加する。しかし、気球に搭載する際には使用できる電力、スペース、重量が厳しく制限されるため、読み出し回路の省電力化、及びコンパクト化が必須であった。そのため今年度は、気球実験用のμ-PIC読み出しCMOS-ASICチップFB2009balの設計開発、及びこのchipを用いたテストボードの開発と、μ-PICとの接続試験を行った。設計には回路シミュレータSPICEを使用した。このチップは1チップで従来の4倍の16chの信号を読み出すことができ、1chあたりの読み出し消費電力を、従来の1/4以下の18mWまで抑えることができる。テストボードを用いた試験により、このチップがアナログ部、デジタル部ともに正常に動作することが確認できた。また、μ-PICとの接続試験ではμ-PICからの信号を正しく読み取り、Cd線源からのX線のスペクトルを取得することができた。これとは別に、ETCCに用いるシンチレータの読み出し回路の開発も行い、6個のマルチアノードPMTからの信号を一度に読み出す省電力でコンパクトなモジュールを開発した。このシステムでは消費電力を従来の1/20以下に抑えるとともに、読み出し装置の質量、体積ともに大幅に削減することができた。これら新たに開発した読み出し装置を量産して使用することにより、大型化されたETCCからの信号を、気球に搭載可能な電力、スペース及び重量で読み出すことが可能になる。
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Research Products
(3 results)