2009 Fiscal Year Annual Research Report
オーバーハウザーMRIを用いたドパミン神経機能障害におけるレドックス制御機構解明
Project/Area Number |
09J01197
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
芝 武志 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | OMRI / ニトロキシルラジカル / レドックス / フリーラジカル / ドパミン / ESR |
Research Abstract |
統合失調症治療には主にドパミン受容体遮断薬が用いられている。しかし、ドパミン受容体遮断薬等による治療により一定の改善効果は認められるものの、再発を繰り返すといった問題点から、根本的な治療法は確立されていない。また、統合失調症治療薬を服用している患者の血液中では、脂質過酸化物の蓄積が報告されており、病気の進展・治療過程において酸化ストレスが関与する可能性がある。そこで、ドパミン受容体遮断薬投与時の脳内レドックス変動について、OMRIを用いて検討することを目的とした。ドパミン受容体遮断薬であるSCH23390(D1受容体遮断薬)とEticlopride(D2受容体遮断薬)を用いて、神経機能とレドックス変動の解析を行った。行動学的解析として、両薬剤を腹腔内投与30分後にラットをオープンフィールド内に入れ一定時間観察したところ、探索行動及び自発運動量の低下が認められた。一方、両薬剤を10日間連続投与したところ、SCH23390投与群においては探索行動、自発運動量ともに増加が認められた。また、両薬剤単回投与後の脳内ドパミン、及びその代謝物濃度についてマイクロダイアリシス法を用いて検討した。その結果、これらの濃度は若干の増加傾向はあるものの、有意な変化は認められなかった。脳内レドックス変動については薬剤投与30分後にOMRIを用いて評価したところ、SCH23390投与群においては造影剤であるmethoxycarbonyl-PROXYLのシグナル減衰が亢進していることが明らかとなった。一方、Eticlopride投与群においては、そのような変化は認められなかった。これらの結果から、D1受容体遮断時に脳内でレドックス変動が起こり、OMRIを用いることでその変動を非侵襲的に画像解析できることが示唆された。
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Research Products
(5 results)