2009 Fiscal Year Annual Research Report
高分子認識を利用した超分子構造の形成と転写システムの構築
Project/Area Number |
09J01792
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田浦 大輔 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シクロデキストリン / 高分子認識 / 超分子構造 |
Research Abstract |
生体系では、DNAが核酸塩基対の相補的な分子認識により、二重らせんを形成する。その結果、生命活動の維持に必要な高度の機能を発現する。本研究では、高度な機能を発現する上で必要なDNAの遺伝情報の転写に着目し、人工的に転写システムを構築することを目的とする。平成21年度では、その基礎研究として、以下の現象を見出した。 β-CDとアダマンチル基との組み合わせは、相補的な分子認識システムを構築する上で重要である。そこで、β-CDとアダマンチル側鎖を有する交互共重合体(pAdMAとpAdPhMA)との見掛けの会合定数(K)を^1H NMR測定の解析から算出し、等温滴定熱量測定の解析から算出したβ-CDとモデル化合物(AdAとAdPhA)とのKと比較した。その結果、β-CDのアダマンチル基に対する選択性が反転(K_<pAdMA>>K_<pAdPhMA>とK_<AdA><K_<AdPhA>)することが分かった。これは、β-CD/pAdPhMAでは、ポリマー側鎖間の疎水性相互作用との競争により、2種類の構造を形成し、β-CD/AdPhAで極端に安定な構造が不安定化するためであるということが円二色性測定と2DNMR測定から分かった。 側鎖型ポリロタキサンを利用することは、転写システムを構築する上で重要である。そこで、ヘプタメチレン(C_7)とアゾベンゼン(Azo)をオリゴエチレングリコールに結合した側鎖を有する水溶性高分子を合成し、側鎖型ヘテロポリ擬ロタキサンを段階的に調製した。主に、2D NOESY NMR測定により、第1段階では、α-CDがC_7とAzoを包接した則鎖型ポリ擬ロタキサンを、第2段階では、Azoをcis化することにより、α-CDがC_7のみを包接した側鎖型ポリロタキナンを、最終段階では、β-CDの添加により、α-CDがC_7、β-CDがcis-Azoを包接した側鎖型ヘテロポリ擬ロタキサンを形成することを確認した。
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Research Products
(6 results)