2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02060
|
Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
羽倉 信宏 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 運動準備 / 腕到達運動 / 時間知覚 / 視覚 |
Research Abstract |
ヒトが適応的に行動するためには、自己身体および外部環境の状態に合わせて適切に時空間情報を取得・処理する必要がある。身体視覚表象の脳内表現の解明のため、本年度は、我々が日常的に行う腕の到達運動の準備が、どのように視覚情報処理を修飾し、時間の知覚を変容するかについて、それを明らかにする三つの実験を実施した。 運動と関係した時間知覚の研究は主に運動の最中、もしくは運動後の期間についてなされてきた。しかし、「打つ前に球が止まって見えた」と多くの運動選手が報告するように、運動準備状態でもヒトの時間の知覚が変化している可能性は高い。本研究では、被験者は刺激提示中に手の到達運動の準備を行い、その最中の刺激の提示時間の知覚を調査した。一つ目の実験では、運動選手が報告するように、運動準備中には時間が伸びて知覚されていることが分かった。二つ目の実験では、運動の準備がよりできている場合の方が、できていない場合に比べて時間が伸びて知覚されることが明らかとなった。さらに三つ目の実験では、被験者は反転提示される視覚刺激の速度を評価するが、運動準備期間中はその視覚刺激の速度が低下して知覚されていることを突き止めた。これら三実験の結果から、運動準備状態は脳の感覚情報のサンプリングレートを高め、それは時間が伸張する知覚を生成すると考えられる。これは、外界の状況に依存して準備中の運動を適切に停止できるように、運動準備期には感覚情報の取得を適応的に促進する脳の方略であると考えられる。
|
Research Products
(9 results)