2009 Fiscal Year Annual Research Report
再話による口頭説明が英文読解プロセスに与える効果の研究
Project/Area Number |
09J02697
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
甲斐 あかり University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 英文読解プロセス / 再話 / 大局的一貫性の構築 |
Research Abstract |
本研究の目的は、再話課題が英文読解プロセスに与える影響を検証することである。特に、再話が持つ複数の認知機能(明確化機能、客体化機能、理解モニター促進機能)を定義し、各機能が作用する表象のレベルを区別することで、再話が読み手の認知プロセスや、表象形成に与える影響を精査する。平成21年度は研究I・II・IIIを実施した。研究Iでは日本人英語学習者の読解プロセスを局所的一貫性の構築と大局的一貫性の構築に分け、読解の処理レベルを検証した。研究の結果、英文読解処理は母語による読解処理に比べて処理のレベルが浅く、読解教材の難易度によって大局的一貫性と局所的一貫性のどちらか一方に偏った読みになる可能性が示唆された。研究IIでは、再話の明確化機能を検証した。読解マテリアルのマクロ構造を操作し、命題間の関係性を希薄化した読解条件を設定することで、再話が命題間の関連付けを活性化するかを検証した。分析の結果、再話が命題間の関連付けを活性化し、大局的一貫性の構築を促進することで、再話群の理解度が高まることが明らかになった。研究IIIでは、再話課題(口頭)と自由筆記再生課題(筆記)の2つのタスクを比較し、(a)情報の再生量がタスク間で異なるか、(b)内容理解をより高めるのはどちらのタスクか、(c)各タスクは読み手のメタ認知にどのような影響を与えるかを検証した。研究の結果、(a)は両タスクで同程度であるが、(b)は再話群の方が統制群よりも高く、(c)では再話群は統制群よりも文章の大意把握を読み手に促す働きが強いことが示された。上述した研究結果から、英文読解指導においては大局的一貫性と局所的一貫性の両者をバランスよく保持することが肝要であり、再話課題が特に大局的一貫性の構築に寄与する可能性が示唆された。
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[Journal Article] Comparing effects of two types of vocabulary knowledge on six question types in reading tests among Japanese EFL learners.2009
Author(s)
Ushiro, Y., Hirai, N., Hoshino, Y., Nakagawa, C., Kai, A., et al
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Journal Title
Peer Reviewed
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