Research Abstract |
本年度は,試料の採取,およびレーザーを用いた炭酸塩の前処理法について検討したので,以下に報告する. 試料の採取は,昨年7月に行ったドレッジによる腕足動物の採取,および3ヶ月に1度の定期採水を行った.また,腕足動物の生息地近傍(水深約70m)に塩分計を設置し,同水深における年間を通じた,水温・塩分データの定点観測を行っている.これにより,腕足動物の生息地近傍における海洋データの取得,および海洋環境の把握が可能となり,腕足動物殻と海洋データを対比させることで,同殻がどの程度,海洋環境を正確に記録しているかを明らかにすることができると考えられる. IRレーザーを用いた炭酸塩の前処理法は,従来の炭酸塩粉末試料を用いた分析法と比べ,試料採取の連続性,緻密性,簡便性などといった点で優れている.よって本前処理法を用いれば,炭酸塩試料の同位体・金属元素について,3次元的なマッピングや時系列データの取得等が,容易に,且つ再現性よく検討・解析できると考えられる.本年度は,その設計および立ち上げを行った.しかし,上記を実現させるためには,まずその準備段階として,IRレーザーと炭酸塩試料の特性を理解し,レーザーの照射強度と,試料の生成量およびブランクの大きさとの関係や,得られたデータの再現性等を評価する必要がある.それらの十分な評価が得られた場合,本手法を腕足動物殻に応用し,同殻の成長線に沿ったOntogenetic Seriesの^<14>Cの変動に関して,検討する予定である.
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