Research Abstract |
IRレーザーを用いた炭酸塩の前処理法は,従来の炭酸塩粉末試料を用いた分析法と比べ,試料採取の連続性,緻密性,簡便性などといった点で優れている.よって本前処理法を用いれば,炭酸塩試料の同位体・金属元素について,3次元的なマッピングや時系列データの取得等が,容易に,且つ再現性よく検討・解析できると考えられる.しかし,上記を実現させるためには,まずその準備段階として,IRレーザーと炭酸塩試料の特性を理解し,レーザーの照射強度と,試料の生成量およびブランクの大きさとの関係や,得られたデータの再現性等を評価する必要がある.よって本研究では,IRレーザーと炭酸塩試料の特性を理解するため,標準試料を用い,上記について検討した.本前処理では,炭酸塩試料に赤外レーザーを照射して試料を熱分解させ,二酸化炭素(CO_2)を生成し,水素で還元し,グラファイト化する.本研究では,前処理の際に生じる可能性があるコンタミネーションを最小限に抑えるため,レーザーの照射からグラファイト化までの行程を1つのラインで完結できるようにした.また,本前処理の大部分を自動化することを念頭におき,Lab Viewを用いて実行プログラムを作成した.基礎実験では,レーザーの照射強度と,試料の生成量およびブランクの大きさとの関係,データの再現性について検討した。その結果,レーザーの照射強度とCO_2量の間には直線関係がみられ,ブランクの大きさは誤差範囲内であることが明らかとなった.カルフォルニア大学アーバイン校のSouthon研究室にてΔ^<14>C測定を行った結果,前処理を行った試料は全て現在の値を示した.よって,ラインの立ち上げおよび基礎実験は成功したといえる. 以上より,平成23年度は上記の知見に基づき,未知試料を用いて実験を進める予定である.
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