2009 Fiscal Year Annual Research Report
医薬品流通市場が拡大する途上国で行う抗生物質リテラシー教育の耐性菌増加阻止効果
Project/Area Number |
09J03954
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中島 理恵 Tokyo Medical and Dental University, 医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 医薬品リテラシー教育 / 途上国 / 医薬品適正使用 |
Research Abstract |
急速な経済成長が続く途上国では、一般市民の医薬品へのアクセスが向上する一方、一般市民の医薬品適正使用に関わる知識(医薬品リテラシー)が不足し医薬品の不適切使用が行われている。本研究の対象地域であるフィジー国は医薬品のストックにおいて南太平洋のハブ的な役割を担っている。しかし、医薬品のアクセスに対して一般市民の医薬品の知識(医薬品リテラシー)に関する情報が不足し、関連する研究が求められている。医薬品のリテラシーに関する研究を体系的に行うためにはまず対象地域における疾病構造、処方薬の種類、患者の服薬行動のアウトカム指標となる服薬アドヒアレンスについて調べる必要がある。本年度は、医薬品リテラシー研究の第一段階として、医薬品リテラシーに影響を与える要因を明らかにすることを目的にフィジー国の首都スバ市に位置する25の医療施設(病院、薬局、ヘルスセンター)おいて患者の医薬品治療を行っている医療従事者を対象としたキーインフォーマントインタビューを実施した。調査項目は、対象地域の患者における1.医薬品の服薬行動(服薬アドヒアレンス)、2.服薬アドヒアレンスを阻害する要因、3.服薬アドヒアレンスを促進する要因、である。インタビュー調査の結果、25人の医療従事者から回答を得た。回答者全員が服薬アドヒアレンスに問題がある患者の存在を認識していた。薬物治療の知識の欠如、疾病の悪化への懸念の欠如、副作用への懸念、多剤併用、長期の治療、医薬品依存への懸念、不十分なカウンセリング、家族のサポート不足、伝統薬治療への信仰により服薬アドヒアレンスが阻害されることが明らかとなった。本年度は医療従事者のみを対象とした研究を行ったが、来年度は患者への調査を実施し、実際の服薬アドヒアレンス率を算出、医薬品リテラシーと服薬行動との関連を分析する。得られる結果は、今後医薬品リテラシーの研究を進めていく上で必須となる。
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Research Products
(4 results)