2009 Fiscal Year Annual Research Report
受容体膜蛋白質の可視化とその制御を用いた新技術の開発
Project/Area Number |
09J04283
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 亜矢子 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 膜タンパク質 / 可視化 / FALI / 機能阻害 |
Research Abstract |
膜タンパク質は,細胞膜表面に発現し,外界からのシグナルを受け細胞内へと情報を伝える重要な働きを担っている。このような膜タンパク質に注目し解析することは,細胞間相互作用が重要な意味を持つ神経科学の分野では重要課題であると言える。特に,特定のシナプスでの局所機能について時間的・空間的に理解することが必要であり,新規手法の開発が求められている。 本研究では,細胞膜に発現した標的分子の特異的可視化技術の開発を行った。神経細胞に発現する膜タンパク質を特異的に標識するために,細胞膜上に発現させた分子に特異的に結合するペプチドを用いた。大腸菌によりリガンドとなるタンパク質を合成・精製した後,蛍光標識を行い,細胞膜表面に発現する膜タンパク質の可視化を達成した。特異的標識は,細胞株のみならず神経初代培養系においてもその特異性を確認し,有用なツールであることを明らかとした。 次に,分子の機能阻害は光照射された領域において蛍光標識された分子の機能のみを阻害できるFALI法について検討した。代謝型グルタミン酸受容体(mGluR1)は,グルタミン酸刺激によりCa2+シグナルが上昇することが知られている。ペプチドを用い膜上のmGluR1を特異的に標識し,光照射により領域特異的にmGluR1の機能阻害を試みた結果,Ca2+シグナルの上昇が有意に抑えられることが明らかとなった。膜タンパク質の機能を時間的・空間的に制御するFALI法を膜タンパク質の機能解析に活用可能であることを明らかとした。 膜タンパク質の機能をより詳細に調べるため,ペプチドを用いた新規膜タンパクの可視化法を確立し,可視化だけでなくFALI法による機能阻害にも有用であることを明らかにした。この技術を用いることでシナプスの安定性に関わる働きや細胞間相互作用における知見を深められる可能性があり,今後の発展が期待される。
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Research Products
(1 results)