2009 Fiscal Year Annual Research Report
microRNA機能の制御による発生分化調節機構の研究
Project/Area Number |
09J04306
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
武田 耕哲 Kobe University, 理学研究科, 特別研究員DC-2
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Keywords | microRNA / 生殖細胞 / 発生分化 / DAZL |
Research Abstract |
本研究ではmiRNA機能の制御という新たな遺伝子発現制御のメカニズムを解析し、このメカニズムが発生・分化調節機構に果たす役割を理解することを目的としている。この目的に鑑み、本年度では以下の2つの研究を行った。 1)DAZLタンパク質の機能解析 我々はこれまでに生殖細胞特異的な遺伝子発現の制御機構について解析を進めてきた。この中で、生殖細胞特異的に発現するdazlが、生殖細胞特異的遺伝子tdrd7に働くmiRNAの抑制を解除できる事を示していた。今年度の研究ではさらにdazl自身もmiRNAによって抑制されている事、dazlに働くmiRNAの機能もDAZLによって解除される事を示した。この結果は、dazlによるmiRNA機能の制御が体細胞/生殖細胞間の遺伝子発現パターンの差異を生み出すのに重要な役割を果たしている可能性を示している。これらの結果をまとめ、本年度の10月に学術誌「PLOS ONE」上で報告した。 2)ゼブラフィシュAgo遺伝子の同定および発現解析 脊椎動物に4種類あるAgo遺伝子の発生/分化過程における機能的を検証するため、ゲノムデータベースを元にゼブラフィッシュにおける4種類のAgo遺伝子の全長ORFをクローニングした。Ago遺伝子の機能を解析するために、λN/BoxBのシステムを用いてタンパク質をmRNAへと強制的にテザーリングさせる系を導入した。この系を用いて、各Ago遺伝子の翻訳やmRNAの安定性への効果を検証していく予定である。また、in situ hybridization法によって初期発生過程における各Ago遺伝子の時間的/空間的発現を解析したところ、それぞれの遺伝子には特異的な発現パターンがみられた。この事から、Agoタンパク質の組織や時期特異的な発現が発生・分化を制御している可能性が示唆されたため、今後はモルフォリノオリゴや過剰発現によって機能的な解析を行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)