2009 Fiscal Year Annual Research Report
piRNAの機能解析に基づくカイコ性決定、胚休眠機構の解明
Project/Area Number |
09J05370
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河岡 慎平 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カイコ / W染色体 / 性決定 / 生殖巣 / トランスポゾン / 低分子RNA / PIWI-interacting RNA / インフォマティクス |
Research Abstract |
カイコにおいては、ヘテロな性染色体構成(ZW)をもつ個体が雌になる。W染色体上には雌決定遺伝子Femが座乗すると考えられてきた。一方で、W染色体は反復配列に占拠された染色体である。このことが一因となり、W染色体の完全配列は未だ得られておらず、細菌人工染色体(BAC)クローン解析から断片情報が得られているのみである。近年、動物の生殖細胞において、トランスポゾンの発現をコントロールする低分子RNA、PIWI-interacting RNA(piRNA)の機能に注目が集まっている。私は、カイコW染色体が、piRNAの巨大なソースになっているという仮説をたてた。本年度は、カイコW染色体に由来する低分子RNAのクローニングおよび性状解析を行った。 1.W染色体に由来するpiRNAの同定 まず、カイコ蛹4日の卵巣、精巣より、piRNAを大量にシークエンスした。結果、カイコゲノムに100%マッチするpiRNAをそれぞれ20万リード以上得ることができた。これらpiRNAをトランスポゾン、反復配列にマップしたところ、卵巣由来のpiRNAが精巣由来のpiRNAよりも多量にマップされるトランスポゾンを多数同定した。BAC配列を参考にしたとにろ、これらのトランスポゾンは完全長型がW染色体に座乗しており、常染色体には断片配列しか存在していなかった。これらの結果から、piRNAのプロファイルが、ゲノムに含まれるトランスポゾンの組成を反映すると考えた。 2.性決定領域に由来するトランスポゾンとpiRNAの同定 カイコにおいては、W染色体の欠失、転座などを有する変異体が複数存在する。それら変異体を用いて、性決定領域に由来するトランスポゾンとpiRNAを同定するにとを試みた。結果、性決領域に座乗していると考えられるトランスポゾンを100種類以上同定した。これらトランスポゾンにマッチするpiRNAは性決定領域由来の転写物と考えられる。 今回同定したpiRNAは、カイコW染色体から得られた初めての転写物である。次年度は、性決定領域由来のpiRNAの機能を、性決定機構との関れりという観点から調査する。
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Research Products
(1 results)