2009 Fiscal Year Annual Research Report
TRPチャネルによる活性分子種センシングの生理的意義解明
Project/Area Number |
09J05398
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 重成 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | TRPチャネル / アロディニア / ノックアウトマウス / TRPV1チャネル / プロスタグランジン / ミクログリア / 感覚神経 |
Research Abstract |
TRPV1は一次感覚神経の末梢神経終末及び一次感覚神経の脊髄におけるシナプス前終末に多く発現が認められる。末梢側におけるTRPV1はカプサイシン、熱(43℃以上)などの刺激を感知する侵害受容器としの機能が知られているが、中枢側(脊髄)におけるTRPV1の機能については未解明な点が多い。当該研究者は、炎症関連物質である15d-PGJ_2がシナプス前終末に発現するTRPV1を持続的に活性化させ、このことが難治性疼痛発症維持に重要な役割を果たすことを発見した。以下、当該年度に行った研究成果を記す。 既に報告のあるカプサイシン(TRPV1アゴニスト)を足底内に投与したところ、一過的な侵害受容行動が惹起された一方、15d-PGJ_2の場合は持続的な侵害受容行動が惹起されることを見出した。また、本侵害受容行動はTRPV1選択的な阻害剤である、Capsazepineの投与により、有意に抑制されることを確認した。WTマウスにて15d-PGJ_2投与群、15d-PGJ_2+Capsazepine同時投与群、及びvehicle投与群に分け、それぞれ脊髄腔内投与した際のアロディニア(非侵害性刺激に対して痛みを感じる症状)をvon Freyテストにより評価した結果、15d-PGJ_2はアロディニアを惹起させた一方、Capsazepineの同時投与によりアロディニアが減少することを確認した。WTマウスとTrpv1ノックアウトマウスを比較して、最も顕著な差が認められる慢性痛モデルを検討した。評価方法はvon Freyテストによりアロディニアを観察した。その結果、不完全神経損傷モデル(CCIモデル、PSNLモデル)では、WTマウスとTrpv1ノックアウトマウスの間で、有意な差が認められなかったが、CFAモデルにおいては、Trpv1ノックアウトマウスでは有意にアロディニアが抑制されることを確認した。このことにより、本研究におけるモデル系はCFAモデルを採用することにした。
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Research Products
(4 results)