2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06543
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 紘平 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピントロニクス / 超伝導体 / メゾスコピック / 純スピン流 / 非局所注入 / 微小領域磁性 |
Research Abstract |
非平衡状態の超伝導状態におけるスピン流および純粒子の緩和・拡散過程に関する研究として、常伝導体/超伝導体界面を通した超伝導ニオブへのスピン流の吸収現象についての実験をおもに行った。 スピン流の吸収現象は、その常伝導体/超伝導体界面の特性に強く依存する。界面特性の優れた素子を作製するためには、大気暴露をすることなく界面を作製する必要があるが、従来のスパッタ法ではそのような界面を有した面内構造素子の作製は困難であった。そこで、電子線加熱蒸着法を応用した斜め蒸着法により、素子の作製を実現した。高融点材料であるニオブは電子線加熱蒸着法が困難であるとされるが、冷却能力を高めることにより可能とした。 実際に作製した素子に対して測定を行った。測定は、おもに非局所手法を用いた電気的測定であり、超伝導状態を維持するために液体へリウムによる冷却装置中において行った。その結果、スピン流が常伝導状態および超伝導状態の両状態においてニオブに吸収される様子が観測された。超伝導エネルギーギャップを有する超伝導状態へのスピン流の非局所注入は従来の理論的予測に反するものであり、超伝導エネルギーギャップを越えた準粒子としての注入であると解釈されている。 これらの結果は、超伝導状態ニオブ中の準粒子流およびスピン流に関する実験において、従来の常伝導状態中において行われてきた非局所手法を用いることが可能であることを示している。したがって、今まで超伝導体状態におけるスピン流の研究においておもであった局所注入ではなく、より純粋にスピン流の拡散現象をとらえることが可能である非局所注入による研究が実現可能となった。
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Research Products
(2 results)