2009 Fiscal Year Annual Research Report
高分離性能マイクロガスクロマトグラフィカラムを用いた匂いセンサ
Project/Area Number |
09J08815
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中井 隆志 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ガスクロマトグラフィ / MEMS / 固定相材料 |
Research Abstract |
ガスクロマトグラフィ(GC)をMEMS技術によって小型化したマイクロGCは,匂い検出の分野での様々な応用が期待されている.しかしこれまで研究されてきたマイクロGCのガス分離カラムは従来のGCの分離カラムよりも分離性能が低い問題点を持つ.そこで,規則的に配列したマイクロピラーをカラム内に作製することで,カラムの分離性能を高めることを提案する.本研究では,ガス分離実験とカラム内の流れ場や物質移動の解析から,カラムのマイクロ構造の設計指針を得ることを目指す. マイクロピラーを内部に持つ分離カラムに固定相を成膜する際,従来の成膜手法では均一性に大きな問題がある.カラムの角が不均一に塗膜され,分離性能が期待よりも高くならないためである.また,固定相の均一で等角的な成膜は,分離性能の正確な解釈にとって不可欠である.そこで,本年度は,カラム固定相材料としてアミノ基を有するパラキシリレン樹脂(diX-AM)を検討した.パラキシリレンは等角的な成膜の可能な材料である.エッチングしたシリコン流路とその蓋となるガラス基板上にdiX-AMを成膜した後,熱接合することでマイクロ分離カラムを作製した.作製したのは,マイクロピラーを持たない開管カラムとマイクロピラーを持つ半充填カラムの2種類である.実際に試作したマイクロ分離カラムの分離性能を評価した結果,diX-AMは保持の弱いガス物質の分離に対して有用な材料であることを示した.また,マイクロピラーによって分離性能が約10倍高くなることを示した. 次に,マイクロピラーの配列は同じであるがサイズの異なる2種類のカラムの分離性能を数値シミュレーションによって評価した.その結果,サイズの小さいピラーの方が大きいピラーよりも,分離性能の点で優れていた.同じ2種類のカラムを作製し,実験によって分離性能を評価した結果,シミュレーション結果と良い整合性が得られた.
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Research Products
(4 results)