2009 Fiscal Year Annual Research Report
鉛直混合・北太平洋中層水に伴う栄養塩輸送に関する研究
Project/Area Number |
09J09478
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 仁 The University of Tokyo, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 鉛直混合 / 北太平洋中層水 / 栄養塩 |
Research Abstract |
研究課題に沿って、平成21年度は北西太平洋における鉛直混合強度の実態解明についての研究を主眼として研究に取り組んだ。4月と8~9月に行われた海洋観測航海において乱流鉛直混合強度観測を所属研究グループで実施し、平行して2008年にすでに実施された観測データを用いて解析を行い、成果を二つの国際学会及び国内シンポジウムにおいて発表した。 4月の観測航海では、黒潮・黒潮続流域における乱流鉛直混合強度の観測を複数の断面に沿って実施した。今後データ解析を通じ黒潮流路に沿った水塊変質や鉛直物質輸送の解明に貢献できるものと考えている。また8~9月に行われた観測航海では、アリューシャン列島海峡部を中心とした集中的な乱流鉛直混合強度の観測に従事した。本観測により海峡部では平均的な外洋域の数百倍の鉛直混合強度が生じていたことが示された。今後海峡周辺の物質輸送の実態解明を行う上で、極めて重要なデータセットが取得されたと考える。 また2008年に北西部北太平洋東経155度線に沿って行われた乱流強度観測データを解析した。その結果、乱流鉛直混合に伴うエネルギー散逸量は、海洋内部波相互作用理論に基づく間接的推定法でよく再現され、さらに理論と整合的な特徴を有していたこと、すなわち、局所的な慣性振動数が半日周期の内部波周波数の半分となる緯度(以下臨界緯度)の低緯度側で急激に高いレベルになっていたことが明らかとなった。その一方で黒潮続流域では臨界緯度よりも高緯度側であるにも関わらず高い散逸エネルギーが観測された。黒潮続流域は北太平洋中層水が形成される海域のひとつであり、水温や塩分、酸素や栄養塩の鉛直的な勾配が大きいことが明らかにされている。従って、強い乱流によって北太平洋中層水の形成に伴い大きな鉛直物質輸送が生じている可能性が高い。これらの結果について2つの国際学会で口頭及びポスターでの発表を行った。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] 黒潮域生態系の3次元輸送・拡散過程(I)2010
Author(s)
小松幸生, 安田一郎, 伊藤幸彦, 池谷透, 日高清隆, 八木雅宏, 野々村卓美, 長船哲史, 西川悠, 金子仁, 他
Organizer
日本海洋学会春季大会
Place of Presentation
東京海洋大(品川,東京)
Year and Date
2010-03-28
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