2009 Fiscal Year Annual Research Report
協奏機能分子触媒による高効率炭素―炭素、炭素―窒素、炭素―酸素結合形成反応の開発
Project/Area Number |
09J09710
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長谷川 康晴 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 均一系触媒 / ルテニウム / イリジウム / 不斉合成 / 協奏機能 |
Research Abstract |
協奏機能触媒は複数の基質を同時に活性化するという特性により、従来の触媒反応ではなしえない選択性で目的とする目的物を得られるということが期待される。2009年度は、今までの研究を更に発展させ、反応機構と共に、より広範囲の基質の反応を開拓することを目指し、実験を行った。 まず研究計画に基づき、協奏機能を有するイリジウムおよびルテニウムアミド錯体を触媒に用いて、様々な触媒反応を検討した。以下に示す反応はいずれも当量のプロトン供与体(ラセミ体)と受容体を原料とする反応で、アトムエコノミーの観点からも有用性が高い。まず、これまでシアノ酢酸エステルとアセチレンモノエステルとの付加反応が79%eeという中程度のエナンチオ選択性およびE/Z異性体比13で進行することを報告していたが、今年度の研究では、受容体をアセチレンジエステルにすることで、選択性がそれぞれ95%ee、Z/E=25まで向上することを明らかにした。一方、受容体にフマル酸ジエステルおよびマレイン酸ジエステルを用いた反応も試みたが、いずれも進行しなかった。 さらに、供与体をシアノ酢酸アミドとし、アゾジカルボン酸エステルへの付加反応を試みたところ、Irアミド触媒存在下最高99%eeで目的とする付加生成物が得られることが明らかになった。 以上の結果をもとに、計算化学的な解析を行った。シアノ酢酸エステルとアセチレンジエステルとの触媒的付加反応では、反応中間体であるアミン錯体を特定し、主生成物であるS体の化合物がいかにして生成するかを明らかにした。
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Research Products
(1 results)