2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J10079
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
小川 剛 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミンククジラ / 腸内細菌 |
Research Abstract |
*東京海洋大学竹内俊郎氏より「ミンククジラ腸内細菌の解析」と「水産バイオマスを原料としたバイオエタノール生産」は関連性のある研究であり、本研究報告書ではミンククジラ腸内細菌の解析について記述するように指示があったためミンククジラ腸内細菌の研究について記述する必要性があることが本概要に必要であると判断しました。 鯨類は古来より日本人にとって重要な食料資源であり、現在では食料資源にとどまらずホエールウォッチングなどの環境的資源としても注目されている。しかしながら鯨類に対する研究は生息している微生物に着目して研究した例は非常に少ない。本研究では、ミンククジラ腸内容物を主なサンプルとして用い、新規研究領域の開拓や、海洋哺乳類における腸内細菌相の構成要因の解明、新規細菌の探索などを目的とした。はじめに、ミンククジラ5頭、バンドウイルカ1頭、オタリア1頭の糞便をサンプルとして腸内細菌を培養・分離・同定した。糞便1g(湿重量)あたり10^5~10^8のコロニーが確認された。分離された211株を16SrDNA配列解析によりEnterobacter cloacae, Clostridium perfringens, Enterococcus faecalis, Proteus, vulgaris, Escherichia coli, Vagococcus fluvialis, Edwardsiellaictaluriと同定した。通性嫌気性細菌は陸上哺乳動物の腸内細菌として知られている種が97%以上を占めていた。また海洋細菌は分離されなかった。以上の結果から海洋哺乳類の体温、胆汁酸、酸素と塩分濃度の減少などが海洋細菌に対する選択圧となっていることが示唆された。海洋哺乳類は海洋環境に生息していながら各種の選択圧によりその腸内に周囲の環境とは異なっている、主に腸内細菌科とClostridiumから構成される独自のミクロフローラを形成していると考えられた。
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Research Products
(1 results)