2009 Fiscal Year Annual Research Report
ユニークな細胞内局在を呈する新奇Rasエフェクター蛋白質RASSF7の機能解析
Project/Area Number |
09J10268
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蛯原 有紗 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | RASSF / JNKシグナル / 細胞死 / 紫外線 |
Research Abstract |
低分子量G蛋白質Rasシグナルは、細胞外からのシグナルを細胞膜受容体において感知し、その情報を核内へと伝達すると考えられてきた。これまで申請者は、Rasエフェクターでありながら核内に存在するというユニークな特性を持つ分子RASSF7を同定し、紫外線照射に応じて核内から細胞質へと局在を変化させてRasシグナルを受け取るという、従来のエフェクターの概念とは異なるシグナル経路が存在する可能性を示してきた。また細胞質へ移行したRASS7はRasと協調してストレス応答性MAPキナーゼJNKの活性化を制御し、ストレス時の細胞死を抑制することを見出している。 そこでRASSF7がJNKの活性を制御する分子機構について検討を行った。その結果、RASSF7の標的因子としてJNKの上流キナーゼであるMKK7を同定し、RASSF7は活性化したMKK7と特異的に結合し、そのキナーゼ活性を抑制してJNKシグナルを抑えることを明らかにした。またRASSF7はストレス強度依存的にユビキチン・プロテアソーム系により分解されることを明らかにし、RASSF7蛋白質量の調節によって細胞が効率的に細胞死を制御している可能性が示唆された。 RASSF7はある種の癌組織において発現が上昇していることも報告されており、その機能メカニズムおよび細胞内量の調節機構を理解することは、新たな抗癌戦略につながることが期待できる。
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Research Products
(3 results)