2009 Fiscal Year Annual Research Report
リサイクル錯体触媒による環境調和型酸素酸化法の創生
Project/Area Number |
09J10514
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小玉 晋太朗 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 環境調和型酸素酸化 / リサイクル / 錯体触媒 / バナジウム / クラスター / 常圧酸素 / 過酸化水素水 / 環境にやさしい反応 |
Research Abstract |
本研究では、錯体触媒を用いた環境にやさしい酸化反応の確立を目指して研究を行っている。酸化反応は有機合成において重要な反応でありながら、その多くは毒性あるいは爆発性を有する酸化剤を過剰量必要としており、安全面や廃棄に関する問題がある。近年では環境への配慮が重要視されており、環境にやさしくかつ効率的な酸化反応の開発が強く望まれている。これを解決するため、電子状態を制御可能な錯体触媒を用い、共酸化剤に分子状酸素や過酸化水素を用いる酸化反応を開発する。 本年度は研究計画に従い、水との親和性の高い配位子の設計と、反応検討を行った。反応のスクリーニングとして、硫酸バナジウムに対し種々の配位子を添加して酸化反応を行ったところ、ピリジン系配位子が良好な結果を与えることを明らかにした。これらの知見に基づき、ニオブ、モリブデン、タングステンとの複合錯体の検討を行ったところ、これまでに報告例がない全く新規な異種核多核錯体を合成することに成功した。分子構造はX線結晶構造解析により、高精度で構造を明らかにした。本クラスター触媒は、酸化反応についても反応進行が確認され、現在、多様な複合錯体の合成について、引き続き検討を行っている。また、錯体のリサイクル能について、新たに不揮発性の環境低負荷溶媒として注目されるイオン液体を利用したリサイクル法の確立について検討した。その結果、従来用いてきたバナジウム錯体触媒が、9回の再利用に対し、全く反応性の低下が見られないことが明らかとなり、環境低負荷型酸化反応に展開可能であることが示された。いずれの反応も、常圧酸素、または過酸化水素水を共酸化剤として用いており、これまでの加圧酸素での反応系から大きく前進することができた。今後は、空気による酸化反応系の構築の可能性について検討するとともに、高分子原料合成への展開を行う予定である。
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Research Products
(9 results)