2009 Fiscal Year Annual Research Report
磁性強誘電体/シリコン系希薄磁性半導体ヘテロ接合における電界効果スピン制御
Project/Area Number |
09J10629
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
進藤 大輔 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | スピンエレクトロニクス / シリコン / 半導体物性 / 磁性 / 結晶成長 / 希土類元素 |
Research Abstract |
平成21年度は以下の点で大きな成果が得られた。 Si:Ce薄膜のキャリアと4fスピンの交換相互作用 AlやBを共添加しホールを高濃度にドープしたSi:Ce薄膜において、その磁気輸送特性の解析から、Si:Ce薄膜の4fスピンとキャリアとの間にp-f交換相互作用が働いていることが明らかになった。金属転移するほどに高濃度ホールドープした試料で観測される正の磁気抵抗は、p-f交換相互作用の効果を考慮した伝導度の計算によって初めて上手く説明でき、キャリアと局在スピンとが交換相互作用していることを示唆している。このことは、キャリア誘起により強磁性状態が発現することを支持する結果でもあり、Si:Ce薄膜の磁性発現メカニズムを理解するうえで非常に意義ある結果である。 シリコンの新規な再構成表面の発見 Si:Ce薄膜の成長中に、通常のシリコンでは観測されない新しい再構成表面の形成が起こることを発見した。Ceを添加しながらSiを成長させると、Ceの表面拡散によって最表面に3×3の再構成表面が形成されることが明らかとなった。この再構成表面が一旦形成されると、Ceを高濃度に添加しているにもかかわらず、試料表面は逆に平坦化してくこともわかった。このことは原子間力顕微鏡を用いた表面観察や、成長中の表面RHEED観察から明らかとなった。またこの再構成表面は、薄膜成長中に形成→消滅→形成を周期的に繰り返すことが、表面構造の詳細なモニタリングから明らかとなった。これらの発見は計画当初には意図していなかったものであるが、原子半径がSi原子よりも大きいCe原子を高濃度にドーピングできる新規な手法として利用できるだけでなく、新たな表面現象の物理を提供してくれるものであり、他分野へも大きな影響を及ぼす結果である。
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Research Products
(4 results)