2009 Fiscal Year Annual Research Report
ω3脂肪酸由来の新規炎症収束性メディエーターの同定
Project/Area Number |
09J10732
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
磯部 洋輔 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ω3PUFA / 脂質メディエーター / 抗炎症作用 |
Research Abstract |
急性炎症反応は生体の恒常性維持に必須な防御機構であり、その進行は「起炎反応」とそれに続く「収束過程」とに分けられる。起炎反応は好中球が炎症部位へ浸潤して異物を排除する過程であり、抗炎症薬の主要なターゲットとしてその分子機構が非常に良く研究されている。一方、好中球が消散して行く炎症の収束過程に関しては、最近積極的な制御機構の存在が認識されてきているものの、その分子機構はほとんど明らかでない。また、高度不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acid, PUFA)のうち、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などのω3PUFAには古くから抗炎症作用などが知られているが、その分子レベルでの作用機序は不明である。私はω3PUFAから新規の炎症収束性メディエーターが生成し、機能している可能性を考え、新規分子の同定、及び機能の解明を目指している。 平成21年度において私は、EPA由来の新規代謝物を複数同定することに成功した。さらに、それらの代謝物をin vitroの酵素反応によりμgレベルで合成し、生物活性があるか検討を行ったところ、EPAの18位に酸素が付加された新規代謝物E5が、好中球の遊走をnMレベルの低濃度で著しくて以下させること、in vivo炎症モデルにおいて炎症進展を有意に低下させることを見出した。また、E5と酸化部位が異なる異性体についてはその作用が認められなかったことから、E5の活性には構造特異性があることが示唆された。現在は本代謝物の作用メカニズムの解明を目指し、有機合成によりmgオーダーでの合成を試みると共に、様々な細胞を用いてE5の活性評価を行っている。
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Research Products
(2 results)