2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J10793
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野々村 恵子 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アポトーシス / カスパーゼ / カスパーゼ活性化因子(Apaf-1) / 細胞数調節 / 脳形態形成 / 神経管閉鎖 / 発生 |
Research Abstract |
アポトーシスはこれまで発生過程の脳の細胞数を調節するために必須であると考えられてきた。その理由はアポトーシス実行因子変異マウスの脳において、細胞数が増加しているような印象を与える形態異常が観察されたからである。しかしながら、本研究において、定量形態学的な手法を用いて変異マウスの脳を発生ステージごとに解析したところ、これらの変異マウスの脳では細胞数が増加していないことが判明した。一方、変異マウスの脳では脳室の拡大不全が生じていることが明らかとなった。正常胚では脳室は神経管の閉鎖完了直後から劇的に拡大し、脳室が空間的に閉鎖することが脳室拡大に必要であることが示唆されている。アポトーシス実行因子変異マウスでは神経管の閉鎖異常が認められることから、変異マウスの脳形態形成の初期的な原因は、神経管の閉鎖異常であると考えられる。これらの結果より、脳形態形成過程におけるアポトーシスの役割は、神経管閉鎖の完了を保証することであることが示唆された。本年度は上述の解析に加え、神経管閉鎖におけるアポトーシスの役割について分子的な面からアプローチを進めるために、変異マウスの神経管未閉鎖領域の組織における遺伝子の発現変動を網羅的に解析した。現在、発現変動が示唆された遺伝子について、より詳細な解析を行っている。また、神経管閉鎖過程における組織中のアポトーシス細胞の時空間的情報を得るために、核が蛍光タンパク質でラベルされたトランスジェニックマウスの頭部のタイムラプスライブイメージングを行っている。本研究の成果は「第42回日本発生生物学会(口頭発表)」をはじめとした複数の学会・研究会で発表した。
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Research Products
(2 results)