2010 Fiscal Year Annual Research Report
両生類の吸水行動制御機構ならびに浸透圧受容機構の解明
Project/Area Number |
09J10811
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
前嶋 翔 富山大学, 大学院・理工学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 両生類 / 水・電解質代謝関連ホルモン / 水分摂取行動 / 膜受容体蛋白質 / 浸透圧受容器 |
Research Abstract |
平成22年度は、実験材料であるアマガエルにおける各種体液恒常性維持に関わる因子の分子基盤を充実させるべく、平成21年度に引き続き、主に遺伝子クローニングに重点を置いて研究を進めてきた。21年度に行った、ホルモンに代表させる内分泌性の体液調節因子に加え、体液の変化をセンシングする因子を同定すべく、両生類の浸透圧受容器の探索とその分子実体の同定を試みた。その候補として、哺乳類における研究により浸透圧受容器としての機能分子であると考えられているtransient receptor potential channel(TRPチャネル)に着目し、アマガエルにおいて3つのサブタイプを得、それらを日本アマガエルTRPVチャネルファミリーとして特徴付けた。現在は、同定したアマガエルTRPVの機能解析を進めている。これまで、下等脊椎動物においてTRPVの存在は示唆されているものの、その機能や構造に関する詳細な報告はないため、本研究の遂行により脊椎動物全般におけるTRPVの生理的意義が解明されることが期待できる。 また、遺伝子クローニングに平行して、両生類の浸透圧受容機構を解明する一環として、哺乳類において神経活動の活性化の指標として用いられる転写因子C-fosに対する免疫染色をおこない、生息環境の変化によって体液に変動が生じた際、あるいは水分摂取を促すホルモンを投与した際に神経活動が活性化される脳領域、神経核を精査した。以上の研究により、両生類における体液浸透圧受容機構を解明するための足がかりとして、浸透圧受容に関わると考えられる膜タンパク遺伝子の同定と、体液変動をセンシングする脳領域を精査し、その機構の一端について明らかにした。
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Research Products
(4 results)