2010 Fiscal Year Annual Research Report
バースト高周波高電界の生体作用とその制御およびがん治療への応用
Project/Area Number |
09J56542
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
矢野 正彦 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | バースト高周波高電界 / アポトーシス誘導 / 増殖活性 |
Research Abstract |
私の研究は電界強度100kV/mを超える高周波高電界によって動物細胞の反応や活性を制御し、最終的にはがん治療などへの応用を目指すものであり、平成22年度は、昨年度得られた細胞の増殖活性のパラメータ依存について網羅的に調査し、電界のもつ周波数依存性を明らかにした。特に周波数3MHzで増殖活性度が最も高まった。また、それぞれの周波数においても電気的なストレスに対して蓄積効果があり、電気的なストレス・印加回数によって細胞増殖を制御できる可能性を示した。さらに、増殖活性についてそのメカニズムを明らかにするためPCR法を用いて解析を行った。これらの結果から、植物や菌などを対象とした新しい分野への応用へとつながる可能性を見出した。 また、新規に構築した電源システムにより今まで得られなかったような電界強度領域において、印加時間をコントロールすることでそのエネルギーを調節し、瞬間的な熱ストレスを含んだ細胞死誘導の基礎実験を行った。通常、がん細胞は熱に弱いとされており、この瞬間的な熱ストレスによりがんに特異的にアポトーシスを誘導できる可能性がある。この基礎実験から一定の温度上昇・エネルギーを与えたときに電界のもつ周波数によって細胞の致死率が異なることを示した。パラメータ依存性について更なる調査が必要ではあるが、この熱ストレスを含む高周波高電界による電気ストレスは、がん細胞や組織に対して非常に有効な治療手段となる可能性がある。
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Research Products
(3 results)